[Vol.1299] 原油下落でも、天然ガス・石炭はまだ高い

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。88.28ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,789.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,810元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年10月限は661.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで865.3ドル(前日比0.8ドル拡大)、円建てで3,713円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月16日 17時02分頃 6番限)
7,599円/g
白金 3,886円/g
ゴム 224.7円/kg
とうもろこし 45,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油下落でも、天然ガス・石炭はまだ高い」

前回は、「ガソリン下落でも、バイデン不支持は高止まり」として、米国のガソリン価格とバイデン氏の不支持傾向を確認しました。

今回は、「原油下落でも、天然ガス・石炭はまだ高い」として、世界のエネルギー価格の推移を確認します。

前回、ガソリン価格が下落しているものの、バイデン政権はしばらく不安を抱え続ける可能性があると、述べました。ここからは、世界全体に目を向けます。以下のグラフは、各種エネルギーの国際価格の推移です。

原油価格こそ下がっているものの、天然ガスと石炭価格は高騰が続いています。天然ガスと石炭の価格高騰は、電力価格高騰の直接的な原因になり得ます。電力価格高騰は、家庭や企業、公の場など、至る所での活動コストを押し上げ、インフレを加速させます。

原油は「経済の血液」と言われ、燃料だけでなく、プラスチック製品や衣服などの原料として、世界中で用いられています。このため、「原油高=インフレ進行」「原油安=インフレ沈静化」という構図がすぐにイメージできます。

とはいえ、イメージしやすいからといって、インフレの動向を原油だけに求めてはいけません。天然ガスと石炭価格の上昇が、電力価格(=経済活動時のコスト)を上昇させ、インフレを進行させる大きな要因であることにも、注意を払う必要があります。

足元、原油価格が下落していても、天然ガスと石炭の価格は高騰したままです。まだまだ世界に、大きな不安が残っていると言えます。

図:エネルギー価格の推移(2022年1月3日を100)
図:エネルギー価格の推移(2022年1月3日を100)

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。