[Vol.1300] 食糧価格は下落するも長期視点で高止まり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。86.22ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,786.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,890元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年10月限は663.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで859.4ドル(前日比1ドル拡大)、円建てで3,725円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月17日 16時42分頃 6番限)
7,659円/g
白金 3,934円/g
ゴム 228.3円/kg
とうもろこし 45,350円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「食糧価格は下落するも長期視点で高止まり」

前回は、「原油下落でも、天然ガス・石炭はまだ高い」として、世界のエネルギー価格の推移を確認しました。

今回は、「食糧価格は下落するも長期視点で高止まり」として、世界の食糧価格指数の推移を確認します。

以下のグラフは、FAO(国際連合食糧農業機関)が、世界全体の食糧価格を指数化した「食糧価格指数」の推移(変動が激しい食用油を除く4種平均)です。

食糧価格指数は下落しているのでしょうか、上昇しているのでしょうか。足元、やや下落したとはいえ、ウクライナ危機発生直前の水準までは下落していません。また、新型コロナがパンデミック化した直後に比べれば、およそ1.5倍の水準です。

ウクライナ危機起因の供給減少懸念が根強いこと、金融引き締めは始まっているものの、金融緩和時に放出した資金がじゃぶじゃぶな状態が続いており、投機資金が流入しやすい状況にあること、天然ガスや石炭の価格高騰により電力コストが増えていること、異常気象で生産状況が不安定な地域があることなどが、食糧価格高騰の背景に挙げられます。

原油価格が下落していても、食糧価格は高止まりしたままです。米国の利上げは確かに原油相場を押し下げたかもしれませんが、それ以外のエネルギーや食糧価格は押し下げていないと言えるでしょう。

まだまだ世界に、大きな不安が残っています。

図:食糧価格指数の推移(食用油を除く4種平均)
図:食糧価格指数の推移(食用油を除く4種平均)

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。