[Vol.1334] 下落圧力、多くが「ドル高」由来

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。87.78ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,724.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 国慶節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで803.75ドル(前日比2.45ドル縮小)、円建てで3,857円(前日比21円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月6日 17時25分頃 6番限)
7,954円/g
白金 4,097円/g
ゴム 232.9円/kg
とうもろこし 50,650円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「下落圧力、多くが『ドル高』由来」

前回は、「CRB指数はドル指数と反対に動いた」として、CRB指数、金(ゴールド)、ドル指数の推移を確認しました。

今回は、「下落圧力、多くが『ドル高』由来」として、足元の主要国際指標(ドル建て商品)の材料を確認します。

以下の図のとおり、「ドル高」は、原油や非鉄、農産物、そして金(ゴールド)などの国際指標と呼ばれる市場に、幅広く、下落圧力をかけています。

「需要減退懸念」は原油、非鉄、農産物の、「ドルとの比較(代替通貨の視点)」は、金(ゴールド)の、個別の下落要因です。「2階建て構造の下落圧力」が、コモディティ(金を含む)の国際指標市場を下落に導いているわけです。

個別の上昇圧力は、原油、非鉄、農産物では「供給制約」「政策起因の需給引き締まり」「生産コスト増」が、金(ゴールド)では「リスク拡大(有事ムードの視点)」、「株価不安定化(代替資産の視点)」がきっかけとなり、作用しています。

しかし、価格が下落していることからわかるとおり、足元、上昇圧力の合計は、2階建て構造の下落圧力の合計よりも小さいと言えます。上昇圧力の合計と下落圧力の合計が相殺し、その結果、価格が下落していると、考えられます。(上昇要因が存在しないわけではない)

「ドル高」が支配的となり、足元、コモディティ市場全般が下落している中、今後、ドルが下落した場合、何が起きるでしょうか。2階建て構造の下落圧力が大きく低下する可能性があります。特に「金(ゴールド)」においては、下落要因の多くが取り除かれる環境になるかもしれません。

図:足元の主要国際指標(ドル建て商品)の材料
図:足元の主要国際指標(ドル建て商品)の材料

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。