ドル円、三角保合い上放れで介入高値更新

著者:菊川 弘之
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 7日発表の9月の米雇用統計が労働市場の引き締まりを示し、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げが続くとの見方から円安ドル高が優勢となり、ドル円は三角保合い上放れてきた。

 雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比26万3000人増と市場予想(27万5000人)ほど増えなかった一方、失業率は3.5%と横ばいを見込んだ市場予想に対して低下し、平均時給は前年同月比5.0%上昇と高い伸びを維持した。

 財務省が11日発表した8月の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は589億円の黒字。黒字額は前年同月から96.1%減り、8月としては比較可能な1985年以降で過去最小となった。

 ドル円の動向を決める二大要因は「経常収支」と「日米金利差」と言われるが、経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。

 貿易収支の赤字が過去最大の2兆4906億円となり、全体を押し下げた。輸入額が10兆5502億円と52.9%増えた。単月で10兆円を超えるのは初めて。原油と石炭、液化天然ガス(LNG)の値上がりが響いた。8月の原油輸入価格は1バレルあたり112ドル41セントと前年同月比52.3%上がった。円建ては1キロリットルあたり9万5610円と87.5%の大幅な上昇だった。

日本の貿易・経常収支とドル・円相場
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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