[Vol.1351] 急増する米国の原油・天然ガス生産量

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。87.88ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,647.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,190元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年12月限は692.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで703.2ドル(前日比7.4ドル縮小)、円建てで3,505円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月1日 16時35分頃 6番限)
7,795円/g
白金 4,290円/g
ゴム 215.0円/kg
とうもろこし 50,740円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「急増する米国の原油・天然ガス生産量」
前回は、「『脱ロシア』でエネルギー業界が大きく変化」として、「脱ロシア」がエネルギー業界に与えている影響を確認しました。

今回は、「急増する米国の原油・天然ガス生産量」として、米国の原油と天然ガスの生産量を確認します。

前回述べたキーワード「米国石油業界の活性化」に関連する、米国国内の原油と天然ガスの生産動向を確認します。「[Vol.1346] 世界No.1の産油国・産ガス国はどこ?」で述べたとおり、米国は原油、天然ガスともに、ロシアやサウジアラビアをしのぐ、世界No.1の生産国です(BPの統計より。2021年)。

米国では、探索・採掘技術の向上、国内需要増加、政策的な支援などを背景に起きた「シェール革命」により、この10年で原油と天然ガスの生産量は1.5倍以上になりました。

EIA(米エネルギー情報局、米国の政府機関。U.S. Energy Information Administration)は、米国に七つ、シェール(天然ガスや原油を含んだ頁岩(けつがん)層)主要地区があるとしています(詳細は「[Vol.1304] 米国のシェールガス・オイルの事情を確認)を参照)。

この七つの主要地区の原油生産量の合計は、米国全体のおよそ75%、同天然ガスの生産量は米国全体の87%です(EIAの統計より推計。2022年9月)。端的に言えば、「シェールが増えれば、米国全体のエネルギー生産が増える」わけです。

原油も天然ガスも、コロナショックによる需要減少や価格急落により、一時的に生産量が減少したものの、その後は、回復しています。天然ガスの生産量については、シェール主要地区、米国全体ともに、コロナショック前の水準を上回っています。

生産量増加は、世界景気が冷え込みつつある中でも、米国国内あるいは米国が輸出する先に旺盛な需要があることを、示唆しているといえるでしょう。

図:米国の原油と天然ガスの生産量(全体・シェール主要地区)


出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。