[Vol.1359] 「反撃の狼煙(のろし)」が出現!?

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。89.25ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,768.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,710元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年12月限は676.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで729.85ドル(前日比4.15ドル拡大)、円建てで3,428円(前日比47円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月14日 12時15分頃 6番限)
7,873円/g
白金 4,445円/g
ゴム 219.1円/kg
とうもろこし 47,150円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『反撃の狼煙(のろし)』が出現!?」
前回は、「『溝』がコモディティ投資を面白くする?」として、これに関連するプラチナ価格の推移について、書きました。

今回は、「『反撃の狼煙(のろし)』が出現!?」として、NY金(ゴールド)先物の価格推移を確認します。

足元、金(ゴールド)相場が騰勢を強めています。ウクライナ危機勃発直後に瞬間的に2,000ドルをつけた後、下落の一途をたどっていましたが、11月に入り、急反発しています。急反発する金(ゴールド)のチャートは、「反撃の狼煙(のろし)」が上がったかのような形状をしています。(狼煙は、モノを焼いて上げた煙によって、遠くに情報を知らせる手段)

「反撃の狼煙が上がった」とは、劣勢に立たされていたものの、形勢逆転に成功し、反撃が始まったことの例えです。ウクライナ危機という「有事」、急激な金融引締めによる「株安」という、金(ゴールド)相場を押し上げる材料があったにも関わらず、下落してきた金(ゴールド)相場が、反撃に転じつつあるわけです。

また、他の銘柄と比べても、比較的、金(ゴールド)の騰勢が強いことがわかります。10月末と11月11日を比べると、ドル建ての金(ゴールド)は7.8%上昇、円建ての金(ゴールド)は2.8%上昇しました。その他、同じ貴金属の銀、プラチナ、パラジウムも上昇しました。貴金属の中で最も人気がある金(ゴールド)が、他の貴金属のけん引役になったと、考えられます。

振り返ってみれば、この間、「欧州50」「上海総合指数」「NYダウ先物」「日経225」など、世界各地の主要株価指数が上昇しました。「株高・金(ゴールド)高」だったわけです。

図:NY金(ゴールド)先物の推移(中心限月 日足 終値) 単位:ドル/トロイオンス
図:NY金(ゴールド)先物の推移(中心限月 日足 終値) 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。