[Vol.1385] フォルクスワーゲン問題の意味を改めて考える

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。76.28ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,825.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,795元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年02月限は542.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで822.75ドル(前日比10.35ドル拡大)、円建てで3,511円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月21日 17時25分頃 6番限)
7,692円/g
白金 4,181円/g
ゴム 223.6円/kg
とうもろこし 42,750円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「フォルクスワーゲン問題の意味を改めて考える」
前回は、「『まし』な利上げが複数経路で上昇圧力をかける」として、筆者が考える2023年のプラチナ市場を取り巻く環境について、述べました。

今回は、「フォルクスワーゲン問題の意味を改めて考える」として、プラチナと金の価格推移を、確認します。

2015年9月、米国の環境保護局の指摘により、ドイツの自動車大手「フォルクスワーゲン」社が、違法な装置を使い、排ガス浄化装置のテストを潜り抜けていたことが発覚しました。このことは「フォルクスワーゲン問題」として、今でも語り継がれています。

当時、市場関係者の多くは「これでプラチナの需要は激減して、価格が急落する」と考えました。プラチナの多くが、同問題で注目が集まった「ディーゼル車」の「排ガス浄化装置」に使われているためです。

プラチナを含む主要なPGM(プラチナ・グループ・メタルズ)の合計でも、自動車排ガス浄化装置向け需要の割合は大きいです(ディーゼル車だけでなくガソリン車にもPGMが使われている)。

同問題の発覚は、「ディーゼル車の信用失墜」→「同車向けのプラチナ需要激減」→「プラチナの相場はもう上昇しない」というイメージを醸成しました。

以下のグラフの通り、長期視点で(短期ではない)、プラチナと金(ゴールド)の価格が離れたのが、ちょうど同問題発覚から間もないタイミングだったことを考えれば、「イメージ」がプラチナ相場を長期低迷に追いやったと言えるでしょう(短期視点では、金(ゴールド)がプラチナのけん引役となる傾向は生きているが)。

同問題発覚を機に発生した「イメージ」が、長期視点で、プラチナと金(ゴールド)が袂(たもと)を分かつきっかけになったわけですが、そのことによって、プラチナは、長期視点(短期ではなく)で、プラチナ独自の材料で動けるようになったと、考えられます。

図:プラチナ、金の価格推移(ドル建てスポット 月間平均) 単位:ドル/トロイオンス
図:プラチナ、金の価格推移(ドル建てスポット 月間平均)

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。