[Vol.1445] 「銀行の不安連鎖」起因の五つの上昇圧力

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。69.28ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,941.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は11,665元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年05月限は501.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで961.00ドル(前日比2.70ドル縮小)、円建てで4,136円(前日比185円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月22日 13時09分頃 6番限)
8,235円/g
白金 4,099円/g
ゴム 207.9円/kg
とうもろこし 42,130円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『銀行の不安連鎖』起因の五つの上昇圧力」
前回は、「国内金(ゴールド)小売価格、最高値更新」として、国内金(ゴールド)税抜小売価格の推移を確認しました。

今回は、「『銀行の不安連鎖』起因の五つの上昇圧力」として、銀行の不安連鎖が与えるドル建て金(ゴールド)相場への影響について、筆者の考えを述べます。

以下は、銀行の不安連鎖が複数の経路で、金(ゴールド)相場を押し上げる材料を生み出している様子を示した図です(筆者イメージ)。

銀行の不安連鎖は、(1)漠たる不安(市民レベルの肌感覚)、(2)米国などの景気悪化懸念、(3)自由経済システムへの不安を生み出していると考えられます。この三つが、合計五つの金(ゴールド)相場を押し上げる材料をつくっていると考えられます。

「銀行の不安連鎖は有事だ」といわれることがあります。確かにそうだと思いますが、銀行の不安連鎖が生み出している押し上げ要因は、「有事ムード」だけではないと考えられます。

「有事ムード」のほか、「代替資産(株の代わり)」「代替通貨(ドルの代わり)」「中央銀行」そして「無自覚のリスク」起因の、時間軸が異なる複数の上昇圧力が、同時に、金(ゴールド)相場に上昇圧力をかけていると考えられます。

図:銀行の不安連鎖が与えるドル建て金(ゴールド)相場への影響
図:銀行の不安連鎖が与えるドル建て金(ゴールド)相場への影響

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。