米国の原油輸出量、最も多いのは韓国

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の強含みなどで。53.16ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの上昇などで。1,507.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム・上海原油は国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで626.65ドル(前日比0.65ドル拡大)、円建てで2,134円(前日比6円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月7日 17時42分頃 先限)
 5,150円/g 白金 3,016円/g 原油 35,880円/kl
ゴム 156.1円/kg とうもろこし 24,030円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国の原油輸出量、最も多いのは韓国」

前回は「解禁後、5.5倍に増加した米国の原油輸出量」として、2016年1月におよそ40年ぶりに解禁となった米国の原油輸出について書きました。

東・東南アジア+インド、およびそれ以外、と地域別の輸出量の推移に着目し、原油輸出の解禁後、徐々に東・東南アジア+インド向けの輸出量が増加し始めたことを確認しました。

今回は「米国の原油輸出量、最も多いのは韓国」として、東・東南アジア+インドの地域における国別の米国の原油輸出量について書きます。

以下のグラフは2016年1月以降の、米国の同地域向けの国別の原油輸出量を示したものです。

2019年7月時点の同地域向けの原油輸出量は合計で日量269万4000バレルでした。米国の原油輸出量全体のおよそ45%です。

同地域における国別では、韓国(1位)、中国(2位)、台湾(3位)、インド(4位)が上位を占めました。(2019年7月時点)日本は「その他」に含めました。

2018年ごろは中国向けの輸出が多かったものの、米中貿易戦争が激化したことなどの政治的要因により、中国向けの原油輸出が減少しました。(中国が輸入しないようにした)

ただ、同時に、韓国やインド向けの輸出が増加したため、同地域向け全体としては、輸出量は増加しました。

先月発生したサウジドローン事件の影響で、改めて原油輸入国の間では代替先模索の重要性を感じたとみられます。

今回書いたとおり、すでに東・東南アジア+インドの地域では、米国産原油の輸入が年々増加する傾向にあります。

日本は以前の「日本が主要国で最もサウジ依存度が高い?」で書いた通り、同地域の中で、2018年時点で最もサウジ依存度が高い国です。

サウジドローン事件は、一難去ったように見えますが、日本にとっては、サウジの代替先を具体的に見つけることができて初めて、今回の事件を乗り切ったと言えるのだと思います。

図:米国の原油輸出量(東・東南アジア+インド向け)
単位:千バレル/日量
米国の原油輸出量(東・東南アジア+インド向け)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。