[Vol.1593] 有事の賞味期限に関する考察

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。83.75ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,982.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,745元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年12月限は661.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1096.7ドル(前日比2.50ドル拡大)、円建てで5,272円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月25日 17時42分時点 6番限)
9,505円/g
白金 4,233円/g
ゴム 264.5円/kg
とうもろこし 40,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「有事の賞味期限に関する考察」
前回は、「ドル・株起因の下落圧力の中、上昇」として、イスラエル・ガザ戦争勃発後の金・ドル・株の値動き(10月6日を100として指数化)を確認しました。

今回は、「有事の賞味期限に関する考察」として、長期視点のドル建て金(ゴールド)の価格推移を確認します。

かつて「有事」は金(ゴールド)価格を急騰させました。顕著だったのは1970年代後半です。イラン革命が起きたり(1978年)、旧ソ連のアフガニスタン侵攻が勃発したり(1979年)、在イラン米国大使館人質事件などが起きたりした(1979年)時期です。

こうした有事の同時多発を受け、「有事の金」が目立ち、金(ゴールド)相場は1978年1月から1980年9月にかけて3.8倍になりました(173ドル→673ドル)。

当時の金(ゴールド)市場は(その他のあらゆる市場も同様)、現在のような複雑さはありませんでした。現在は複数の材料の影響力を相殺しなければならない複雑さがありますが、当時は「有事→金(ゴールド)価格上昇」という単純な式で値動きを説明できました。

単純な式で値動きを説明できた1970年代後半は、その他の材料の影響度が小さい分、ある意味「有事の賞味期限」を推測するための好例だといえます。この例を目安に考えれば、有事起因の上昇が継続する期間は2年程度、となるでしょう。

2000年代に入り、世界各地でさまざまな戦争が起きたのにもかかわらず、長期視点で価格が上昇し続けているのは、有事以外の材料の影響力が大きくなったためです。中央銀行の買い(後述します)や、中国・インドの宝飾需要、見えないリスク(覇権争い、西側・非西側の対立)などです。

特にリーマンショック(2008年)以降、米国などで大規模な金融緩和が行われたことがきっかけで、金(ゴールド)のほか、あらゆる市場が「材料複合化時代」に突入したことに留意が必要です。

図:ドル建て金(ゴールド)の価格推移 単位:ドル/トロイオンス
図:ドル建て金(ゴールド)の価格推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。