[Vol.1649] 「今ここ」が重要、安易に過去に頼らない

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.50ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,031.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,875元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年03月限は566.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1111.2ドル(前日比1.60ドル拡大)、円建てで5,307円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月19日 18時36分時点 6番限)
9,661円/g
白金 4,354円/g
ゴム 271.7円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『今ここ』が重要、安易に過去に頼らない」
前回は、「金(ゴールド)市場にも負の出来事」として、小頻度の大規模な負の出来事が生んだイメージと実態について述べました。

今回は、「『今ここ』が重要、安易に過去に頼らない」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)について述べます。

「いつも雪」と「有事の金買い」は、きっかけが小頻度の大規模な負の出来事であるという共通点を持っています。それ以外の共通点に、シンプルで連想しやすいことが挙げられます。

これは「[Vol.1644] 投資思考のイノベーションで『花の山』へ」で述べた「昭和」の考え方です。「脱昭和」がこれからの投資スタイルになじむという趣旨で書きました。その意味では「脱いつも雪」そして「脱有事の金だけ」は、社会人として、そして投資家として目指すべき像であると、筆者は考えます。

「脱昭和」を目指すための具体的なアクションの一つに、「以前はどうだった?という考えを減らす」ことが挙げられます。時代の変化が激しい昨今においては、過去を振り返ることで分析を誤ることがあります。

2022年のように有事が勃発しても金(ドル建て)価格が上昇しなかった例を見れば、過去に頼り切ることがリスクになり得ることが分かります。いったん頭の中をゼロにして、目の前で起きている今の事象と向き合うことが大変に重要です。このことは金(ゴールド)投資に限ったことではありません。

仮に金(ゴールド)相場を分析する際は、有事ムードをその一つとし、投資スタイルに合わせて以下のテーマに注目するとよいでしょう。短中期であれば「有事ムード」「代替資産(株の代わり)」「代替通貨(ドルの代わり)」の三つ、中長期であれば「中国・インドなどの宝飾需要」「中央銀行」「鉱山会社」の三つ、超長期であれば「見えないリスク」の一つです。

短期売買の際に四半期に一度公表される「中央銀行」の金(ゴールド)保有量を参照することは、なじまないといえます。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。