[Vol.1697] 今そこにある「世界大分断」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.10ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,270.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,780元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年05月限は645.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1343.65ドル(前日比26.35ドル拡大)、円建てで6,551円(前日比33円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月1日 18時24分時点 6番限)
10,986円/g
白金 4,435円/g
ゴム 327.7円/kg
とうもろこし 40,290円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「今そこにある『世界大分断』」
前回は、「カギを握る中央銀行の金(ゴールド)保有」として、世界的な金(ゴールド)の調査機関が実施した中央銀行向けのアンケート結果について述べました。

今回は、「今そこにある『世界大分断』」として、自由民主主義指数(2023年)について述べます。

日本では2024年度がスタートしました。この4月から社会に出たり、学校に入ったりして、生活環境が変わった方も多いと思います。また、この節目に、気持ちを新たにして仕事や勉学に励もうと考えている方も多いと思います。

節目という環境が変化するタイミングにある今、視点を世界に拡大し、世界全体の環境を確認することとします。以下は「自由民主主義指数(2023年)」です。

V-Dem研究所(スウェーデン)は、世界各国の民主主義の状況を数値化して多数指数を公表しています。自由民主主義指数もその一つです。青が濃ければ濃いほど自由で民主的な度合いが高く、オレンジが濃ければ濃いほど民主的な度合いが低いことを意味します。

率直に言って今、世界は民主主義が行き詰まり、分断状態にあります。民主主義をよしとする欧米が中心の西側と(日本を含む)そうでない非西側の間に明確な溝が生じています。人口シェアで言えば、前者が17%、後者が77%と、圧倒的に民主的な度合いが低い国が優位です。

民主的な度合いが高い国の数と民主的な度合いが低い国の数の推移をみると、この分断は2010年ごろから始まったことがわかります。

比較的平和とされる日本で暮らしていると世界が分断状態にあり、分断が深化しつつあることなど想像ができないかもしれません。ですが、この分断深化が足元の物価高の一因であると認識できると、分断を自分事として捉えられるようになると思います。分断は物価動向に大きな影響を与える原油相場の高止まりの一因でもあるのです。(次回以降述べます)

図:自由民主主義指数(2023年)
図:自由民主主義指数(2023年)

出所:V-Dem研究所および国連のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。