[Vol.1705] 2010年ごろから続く流れの延長線上

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。86.45ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,361.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,925元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年05月限は671.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1379.35ドル(前日比7.85ドル拡大)、円建てで6,774円(前日比39円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月11日 13時04分時点 6番限)
11,531円/g
白金 4,757円/g
ゴム 324.0円/kg
とうもろこし 40,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「2010年ごろから続く流れの延長線上」
前回は、「主要産油国からの同時供給減少懸念」として、供給減少懸念と需要増加観測(一例)について述べました。

今回は、「2010年ごろから続く流れの延長線上」として、2010年以降の世界的なリスク拡大と金・原油・株高の背景(筆者イメージ) について述べます。

現在発生している供給減少懸念がどこから来たのかを考えます。短中期的な上昇圧力をもたらす材料であるものの、筆者はその種は15年ほど前にまかれたとみています。

中東地域もロシアも、西側先進国から見れば非西側です。その非西側とわれわれ西側の間に明確な分断が生じ始めたのが、2010年ごろだったと筆者は考えています。V-Dem研究所(スウェーデン)が公表している、各国の自由や民主度を数値化した「自由民主主義指数」が、明確に2010年ごろに変化が生じたことを示しているためです。

スマホとSNS(交流サイト)の世界的な同時普及、欧州での債務問題や移民問題などによる混乱、リーマンショック後の景気回復・株価上昇を企図して環境問題と人権問題を利用した、西側による正しいことアピールなどは、民主主義の行き詰まりや西側と非西側の分断深化を加速させたと言えます。

そしてその延長線上に、西側への資源の出し渋りや、ウクライナ戦争やイスラエルとハマスの戦争勃発があり、これらが重なり、原油の供給減少懸念が強まったり、原油の減産が行われたりして、原油価格が高止まりしていると考えられます。

やはり、OPECプラスは原油価格を上げるためにやみくもに減産をしているなどと、西側の一方的な論理で彼らを指摘することはできないのです。(われわれ西側も原油高の材料を作っている)

図:2010年以降の世界的なリスク拡大と金・原油・株高の背景(筆者イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。