[Vol.1758] 分断で金(ゴールド)価格高止まり継続

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。82.36ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,337.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は16,100元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は628.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1322.55ドル(前日比7.85ドル縮小)、円建てで6,878円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月28日 16時40分時点 6番限)
12,059円/g
白金 5,181円/g
ゴム 328.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「分断で金(ゴールド)価格高止まり継続」
前回は、「中国の米国離れ、世界の自由・民主度低下」として、中国の米国債残保有残高と自由民主主義指数(世界平均)について述べました。

今回は、「分断で金(ゴールド)価格高止まり継続」として、金(ゴールド)価格とS&P500指数の推移について述べます。

世界分断はなぜ生まれ、深化したのでしょうか。以前の「[Vol.1715] 世界分断は『ESG』と『SNS』」で深化したで述べたとおり、2010年ごろから目立ち始めた「ESG」と「SNS」がきっかけだった可能性があります。

西側がESG(環境、社会、企業統治)を進める中で、非西側に配慮を欠いた場面があったこと(一方的な石油否定、一方的な人権擁護など)や、SNSをきっかけに民意が濁流(だくりゅう)と化して大規模な選挙が多くの人の予想と異なる結果になったり(2016年の米大統領選、BREXITなど)、国家が転覆したりしたこと(アラブの春)を考えれば、ESGとSNSが世界分断の一因であることを否定することはできません。

世界分断が深化する中で、中央銀行はさまざまな意図で金(ゴールド)の積み上げ量を増やし、市場に上昇圧力をかけてきました。逆に、中央銀行が積み上げ量を減らすためには世界分断を解消させる必要があります。そしてその世界分断を解消させるためには、ESGのスピードを緩めたり、SNSの使用頻度を下げたりする必要があります。

人類は、これまで莫大な投資を続けてきたESGを止めたり、インフラと化したSNSを使わないようにしたり、できるのでしょうか。できないと、筆者は考えます。それはつまり、人類が中央銀行の積み上げ量を減らすための有効な手段を持ち合わせていないこと、金(ゴールド)価格の高止まりが長期視点で続くことを示唆しています。

図:金(ゴールド)価格とS&P500指数の推移
図:金(ゴールド)価格とS&P500指数の推移
出所:ブルームバーグのデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。