[Vol.1760] 日本でも相次ぐ金属盗難は関東地方が中心

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。メキシコ湾にハリケーン襲来予報が出たことなどで。84.00ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,339.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は15,145元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は634.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1343.55ドル(前日比6.65ドル縮小)、円建てで7,044円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月2日 17時42分時点 6番限)
12,134円/g
白金 5,090円/g
ゴム 334.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「日本でも相次ぐ金属盗難は関東地方が中心」
前回は、「米国で続く自動車排ガス浄化装置盗難」として、米国における自動車排ガス浄化装置の盗難件数ついて述べました。

今回は、「日本でも相次ぐ金属盗難は関東地方が中心」として、日本の金属窃盗事件の認知件数について述べます。

日本における金属盗難も急増状態にあります。以下のとおり、2023年は全国で1万6,000件超の金属の窃盗事件が認知されました。2020年の約3倍です。茨城県が最も件数が多く、2023年は2,889件、次いで千葉県が1,684件、栃木県が1,464件、群馬県が1,437件、埼玉県が1,172件でした。全国の金属窃盗の半数以上が関東地方で起きました。

2022年から2023年にかけて、とくに茨城県、千葉県、栃木県、群馬県の伸びが大きくなっています。このことは、太陽光発電施設における盗難事件と深く関りがあります。関東地方で太陽光発電施設における盗難が多発しているとみられます。関東地方で太陽光発電施設における盗難が多い背景には、以下の点が挙げられます。

(1)関東地方に太陽光発電施設が比較的多いこと。首都圏近郊のゴルフ場や農地の跡地が同施設として活用されるケースがあります。

(2)関東地方に外国人のコミュニティが複数あること。露木警察庁長官が「(金属窃盗が)不法滞在外国人の収入源になっていることがうかがわれる」と指摘しているとおり、金属盗難と不法滞在外国人の関係は否定できません。このこともあり、関東圏で用いられている盗難防止を呼び掛ける張り紙の注意喚起文言は、複数のアジア圏の言語で書かれています。

(3)関東地方に金属買い取り業者が比較的多いこと。都市化が進んできた中でインフラの建設・解体が繰り返されてきました。こうした中で、解体の際に発生する金属くずを処理する業者が増えてきたと考えられます。

(4)関東地方には需要家が多数存在すること。関東地方の都市部では再開発が、近郊では都市開発が続いています。このため、インフラ敷設のための銅の需要があると考えられます(データセンターなども含め)。

図:日本の金属窃盗事件の認知件数 単位:件

出所:警察庁のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。