[Vol.1796] 恐怖にあおられず方針とテーマを一致させる

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,532.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,350元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年10月限は545.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1579.85ドル(前日比16.85ドル拡大)、円建てで7,302円(前日比64円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月23日 19時13分時点 6番限)
11,762円/g
白金 4,460円/g
ゴム 351.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,020.0円/mmBtu(24年11月限 24年8月23日17時29分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「恐怖にあおられず方針とテーマを一致させる」
前回は、「中央銀行は金(ゴールド)の『本性』を認識」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年8月時点)を確認しました。

今回は、「恐怖にあおられず方針とテーマを一致させる」として、NISAで投資できる金(ゴールド)関連商品分類を確認します。

金(ゴールド)の長期投資の際は、恐怖をあおる「有事ムード」と距離を置くことが重要です。注目すべきは、金(ゴールド)の「本性」に関わるテーマである「中央銀行」と「見えないジレンマ」がもたらす上昇圧力がどれだけ長続きするかです。

一方、短期売買であれば、有事ムード、代替資産、代替通貨に注目するべきでしょう。短期売買に中央銀行や見えないジレンマは必要ありません。つまり、金(ゴールド)への投資の際は、投資方針とテーマを一致させることが重要なのです。

恐怖にあおられたから、分かりやすいから、有名人が言っているから、みんながやっているから、過去にそうだったから、といった以前の「[Vol.1794] 市場関係者は『四つのゾーン』を意識したい」で述べた「快適ゾーン」「恐怖ゾーン」的な発想ではなく、ご自身が金(ゴールド)をどう使いたいか、という問いへの答えを明確にすることが重要です。そうすれば、おのずと取引手法とそれに対応する注目テーマが決まってくるはずです。

こうした問いを立ててその答えを考える作業もまた、「学習ゾーン」に入るために欠かせない過程です。金(ゴールド)の「魔性」の側面だけを見るのか、それとも視野を拡大させて「本性」の部分までをも把握するのかは、大きな違いです。

金(ゴールド)を正しい意味で長期投資の手段に据え置くためにも、われわれ市場関係者(情報の発信者・受け手)は考え方を変化させなければなりません。

金(ゴールド)は大変に面白い、壮大で奥深い投資対象です。それをみすみす「恐怖の媒介者」「恐怖の吹きだまり」とみなすことのないよう、留意しなければなりません。(もちろん、筆者も含めてです)

図:NISAで投資できる金(ゴールド)関連商品分類
図:NISAで投資できる金(ゴールド)関連商品分類
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。