[Vol.1884] 「トランプ2.0」とともに始まる2025年

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.69ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,646.99ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は16,750元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年02月限は577.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1693.04ドル(前日比13.36ドル縮小)、円建てで8,671円(前日比61円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月6日 18時06分時点 6番限)
13,431円/g
白金 4,760円/g
ゴム 359.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『トランプ2.0』とともに始まる2025年」
前回は、「2025年のプラチナ相場、十年の呪縛から解放か」として、近年のプラチナ市場を取り巻く環境を確認しました。

今回は、「『トランプ2.0』とともに始まる2025年」として、米国の自由民主主義指数を確認します。

いよいよ1月20日、トランプ氏が米大統領に就任し、トランプ政権二期目を意味するトランプ2.0がスタートします。2025年の始まりはトランプ2.0の始まりでもあります。

トランプ2.0が始まることによって、急低下する可能性がある指数があります。V-Dem研究所(スウェーデン)が公表している米国の自由民主主義指数です。

法整備、裁判制度、言論の自由など、民主主義に関わる多数の情報を数値化したこの指数は0と1の間で決定し、0に接近すればするほど、その国が自由で民主的な度合いが低いことを、1に接近すればするほど自由で民主的な度合いが高いことを意味します。

下の図のとおり、東西冷戦のさなか、米国は旧ソ連や旧ソ連と考え方を同じくする国々と明確に異なる、自由で民主的な姿勢を強めました。2001年に同時多発テロ発生をきっかけとした混乱によって一時的に低下したものの、その後は反発して0.85近辺に達し、米国が世界屈指の自由で民主的な国であることが示されました。

しかし、2016年にトランプ氏が米大統領選挙で勝利した後、0.72近辺まで急低下しました。彼の勝利は、民主主義の対局にある分断を利用したものだったといわれています。この急低下は、彼の横暴ぶりが米国の民主主義を大きく傷つけたことを示唆しています。

そして今、トランプ2.0が始まり、再び同指数が急低下する可能性が高まっています。西側の超大国である米国の民主主義の行き詰まりは、2010年ごろから続く、世界全体の民主主義の停滞、引いては世界分裂を加速させる可能性があります。

世界分裂は戦争を激化させたり、非西側の資源国の出し渋りを拡大させたりするおそれがあります。戦争激化は有事ムード拡大を、資源の出し渋り拡大はインフレ拡大の要因になり得ます。こうした傾向が強まる1年目が2025年であると、考えられます。

図:米国の自由民主主義指数
図:米国の自由民主主義指数
出所:V-Dem研究所(スウェーデン)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。