[Vol.1957] 原油輸入価格は国際価格と為替で構成

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。64.52ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,335.54ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,695元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年06月限は503.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2365.94ドル(前日比91.26ドル縮小)、円建てで10,939円(前日比64円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月23日 18時44分時点 6番限)
15,262円/g
白金 4,323円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,097円/mmBtu(25年7月限 3月21日17時47分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「原油輸入価格は国際価格と為替で構成」
前回は、「4:原油輸入価格、4:税金、2:諸コスト」として、2024年のガソリン小売価格 補助なし・あり(筆者推定・年間平均)を確認しました。

今回は、「原油輸入価格は国際価格と為替で構成」として、日本の原油輸入単価・ドバイ原油(2000年を100)およびドル/円相場の推移を確認します。

補助金なし・諸税抜きのガソリン価格は、素のガソリン価格と言えます。同価格は、原油輸入単価と石油業者の諸コストの合計額です。補助金なし・諸税抜きのガソリン価格と日本の原油輸入単価の推移は、同じ山・谷を描いています。

原油がガソリンの原材料であることを考えれば、日本の原油輸入単価が補助金なし・諸税抜きのガソリン価格をけん引していると言えます。では、日本の原油輸入単価は何に追随しているのでしょうか。

以下のグラフは、日本の原油輸入単価とドバイ原油(2000年を100)、およびドル/円相場の推移を示しています。このグラフから分かるとおり、ドル/円が長期視点で極端な動きをしたときに、日本の原油輸入単価が影響を受けます。

ドル/円が長期視点で極端に円高方向に推移すると(1ドル80円など)、日本の原油輸入単価は日本が多く輸入する中東産原油の主要油種であるドバイ原油よりも弱くなります。

逆に、ドル/円が長期視点で極端に円安方向に推移すると(1ドル140円など)、日本の原油輸入単価はドバイ原油よりも強くなります。他の輸入品と同様、円高は輸入物価下落、円安は輸入物価上昇、の理屈が働いています。

このことから、ガソリン小売価格を引き下げるには、日本の原油輸入単価を押し下げる「円高」を誘発することが有効だと言えます。(日本銀行が利上げを行い、ドル/円が円高に振れれば、ガソリン小売価格は一定程度、下がる可能性がある)

図:日本の原油輸入単価・ドバイ原油(2000年を100)およびドル/円相場
図:日本の原油輸入単価・ドバイ原油(2000年を100)およびドル/円相場
出所:資源エネルギー庁、世界銀行などのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。