[Vol.2059] 上昇した株価指数が「多すぎる」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。62.42ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,755.52ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年01月限は15,615元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年11月限は483.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2328.72ドル(前日比39.42ドル拡大)、円建てで11,496円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月22日 17時57分時点 6番限)
17,852円/g
白金 6,356円/g
ゴム 309.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「上昇した株価指数が『多すぎる』」
前回は、「プラチナ積み立ては怒りを利益に変える手段」として、金(ゴールド)とプラチナの積立投資の結果(2015年9月から約10年間)を、確認しました。

今回は、「上昇した株価指数が『多すぎる』」として、主要株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2010年9月終値と2025年9月19日を比較)を、確認します。

足元、国内外の主要な株価指数が、最高値圏で推移しています。米国の主要株価指数の一つであるS&P500種指数は最高値圏にあり、2010年ごろと比較すると、およそ6倍の水準です。

この15年間、何度か短期的な反落に見舞われたものの、長期視点では急騰が続いています。2010年以前には考えられなかった急騰ぶりが、およそ15年も続いています。

金(ゴールド)と原油は、S&P500種指数に全く及ばない水準です。しばしば原油は「経済の血液」と言われます。世の中の景気が良く、株価指数が上昇する時、旺盛な需要を背景に原油相場も上昇すると言われることがあります。株価指数と原油は連動するという考え方です。

この考え方に基づけば、原油もS&P500種指数のように急騰していても、おかしくはありません。しかし、実態はそうではありません。コモディティアナリストの筆者は、原油が急騰していないことよりも、株価指数の急騰が長期視点で続いていることに関心があります。

昨年、大規模イベントの際にとある個人投資家と会話をした時に、「株価が急騰している理由が分からない。肌感覚で景気がよいと思えない」という趣旨の言葉を聞き、筆者も「やはりそのように感じている投資家もいるのか」と感じました。

実は、上昇している株価指数はS&P500種指数だけではありません。下の表の通り、2010年9月と2025年9月を比較した、S&P500種指数を含む世界各国の主要な45の株価指数の騰落状況を確認すると、44の株価指数が上昇しています。

この中で下落した株価指数は、ロシアの「RTSI(RTS Index:モスクワ取引所に上場している流動性の最も高い50銘柄で構成。時価総額加重平均型の指数)」でした。同株価指数は原油相場に連動する傾向があり、2010年よりも原油相場が安くなったことを反映したと考えられます。

裁判をテーマにしたドラマで「目撃情報が多数ある」と主張する検察側に対し、弁護側が「多すぎる」と反論するシーンがありました。目撃情報が多いことは良いことに思えますが、多すぎると、別の事象が起きている可能性が浮上します。それと同様、上昇した株価指数の数が「多すぎる」背景に何かがある、と筆者は考えています。

図:主要株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2010年9月終値と2025年9月19日を比較)
図:主要株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2010年9月終値と2025年9月19日を比較)
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。