新型肺炎感染拡大を受けた商品市場見通し

著者:菊川 弘之
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 中国・武漢市で発生した新型コロナウィルス感染拡大からリスク回避の動きが強まっている。中国政府が武漢市に発着する航空機、長距離バス、電車、市内の公共交通機関の停止方針を示すなど、感染拡大阻止へ向けた対応に出ているが、新型コロナウィルスによる肺炎の猛威は止まらない。中国国内の死者数が27日時点で80人に達するなど感染拡大を受け、中国政府は同日、春節(旧正月)の連休を2月2日まで延長すると発表した。中国マーケットも、これに準じた措置が取られると思われる。

 潜伏期間が10日間ほどと言われる中、春節での大移動もあり、2月に入ると中国だけでなく、世界各地に感染者が拡大・表面化する可能性は大きい。実体経済の影響も春以降には、具体的な統計数字となって出てくるだろう。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)発生時に感染者が最も拡大したのは5月だった。

 2003年段階と比べて、中国のグローバル資本市場における位置付けが大きく変化している点には要注意。訪日観光客数は桁違いに増加しており、中国のGDPの規模も、2003年と比べると、4倍となって米国に次ぐ世界第二位の経済大国となっている。東京オリンピックへの影響も懸念される。
 
日中のGDP推移
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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