金相場、調整局面も下値は限定的か?

著者:菊川 弘之
 金相場は、内外共に8月上旬に史上最高値を更新した後、調整局面入りとなっている。7月末に、中国が銀行の金投資口座新規開設を禁じるなど、過熱感が高まっていた金投資に対して規制に動いた中、金との相関の高いユーロドルが調整に入ったことなどが、調整安のきっかけとなった。

 また、史上最高値更新の一因となった7月末のゴールドマン・サックス(商品部門)による目標価格引き上げ(向こう12ヵ月の金価格見通しを1オンス=2300ドルに引き上げ)だが、8月上旬にゴールドマン・サックス(富裕層向け部門)は、「米ドルの準備通貨としての地位は保たれる。現在の金をめぐる興奮・大騒ぎで私たちは買いに入ろうとは思わない。実際、現時点で投資家は逆の面に着目し、金に大きなダウンサイドがあると考えるべきだ。」としたことも、買い方の利食いを誘った一因だ。

 ドルの基軸通貨のポジションが将来、どうなるかで、金の上値余地も大きく変わりそうだが、これまで「金には金利もつかず、配当もないため、投資する意味はない」、「(金投資は)アメリカ人の気質に合わない」と長らく公言していたウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、米大手銀行の株式を一部ないし全部を売却する一方、カナダ産金大手バリック・ゴールド株を約2090万株(5億6300万ドル相当)取得したことが、米証券取引委員会(SEC)に提出した6月末の保有状況報告で判明した。

 バフエット氏の変節・宗旨替えに対しては、様々な憶測が飛び交っているが、ドルの基軸通貨体制・米覇権に対するヘッジ的な意味合い・予測があるとすれば、金相場の下値は限定的、長期的な上値余地は大きくなる可能性があるとも言えよう。

NY金・ユーロドル

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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