米シェール業者、さらに筋肉質になる

著者:吉田 哲
原油反落。米主要株価指数の反落などで。40.23ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,899.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は13,320元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年12月限は272.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1025.35ドル(前日比4.05ドル拡大)、円建てで3,534円(前日比18円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月15日 20時6分頃 先限)
6,428円/g 白金 2,894円/g
ゴム 197.6円/kg とうもろこし 23,870円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)
WTI原油先物日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米シェール業者、さらに筋肉質になる」

前回は「プラチナ市場にある“正したい勘違い”④」として、先月、WPIC(World Platinum Investment Council)が公表したプラチナの需給に関するデータより、プラチナの鉱山生産量、および産業用と宝飾用を足した消費量の動向に、注目しました。

今回は以前の「生き残った米シェール業者はどんどんと筋肉質になっている!?」に関連し、「米シェール業者、さらに筋肉質になる」として、10月13日(月)に、EIA(米エネルギー省)が公表した、米シェール主要地区のさまざまなデータから、同地区の新規1油井あたりの原油生産量に、注目します。

「質×数=生産量」とした場合、新規1油井あたりの原油生産量は、“質”にあてはまると筆者は考えています。“数”は油井や油井に直接的に関わる、稼働リグ数や掘削済井戸数、仕上げ済井戸数などです。

しばしば稼働リグ数の増減が米シェール主要地区の原油生産量の増減に関わる、と言われますが、この議論は稼働リグ数という“数”にのみに着目しており、“質”の議論を考慮していません。つまり、“稼働リグ数”だけで、米シェール主要地区の原油生産量の議論はできないのです。

さらに言えば、稼働リグ数は、掘削という開発段階の前工程の状況のみを示しています。このため、リグが稼働した結果である掘削済井戸数や、後工程の仕上げが行われた井戸数である仕上げ済井戸数も考慮しなければ、精度の高い“数”の議論はできません。

“質”を示す重要な手掛かりである“新規1油井あたりの原油生産量”について、EIAが提唱する7つの主要地区の平均の推移を確認すると、以下のグラフのようになります。2020年9月は、日量1,312バレルで、3カ月連続で統計史上最高を更新しました。

次回以降、書きますが、同地区の9月の原油生産量は合計で日量790万バレルでした。8月にくらべてやや減少したものの、3月から4月にかけてOPECプラスの会合の決裂や、新型コロナショックによって発生した原油価格の急落の影響で急減した5月の生産量が688万バレルだったことを考えれば、現在もまだ回復基調にあると言えそうです。

“質”が向上し続けている点が、同地区の原油生産量の回復に、大きく貢献していると考えられます。

図:米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量と原油価格
米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量と原油価格

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。