金投資家としてスキルアップしたければ、常識を捨てよ

著者:吉田 哲
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。52.92ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,842.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,265元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年03月限は342.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで728.45ドル(前日比15.75ドル縮小)、円建てで2,493円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月14日 18時3分頃 先限)
6,171円/g 白金 3,678円/g
ゴム 238.8円/kg とうもろこし 27,670円/t

●NY金先物(期近) 日足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金投資家としてスキルアップしたければ、常識を捨てよ」

前回は、「金投資。一歩目は“イメージ”でOK。2歩目以降は“実態把握”が必要」として、1都3県に緊急事態宣言が発出された1月7日(木)から翌週月曜日までの、国内外の金相場の動きについて、書きました。

今回は、「金投資家としてスキルアップしたければ、常識を捨てよ」として、筆者が考える、金投資家がスキルアップするために必要な条件について、書きます。

金(ゴールド)投資の1歩目を踏み出した(踏み出そうとしている)投資家の皆さまが、その後、各々、2歩目、3歩目と歩みを進める中で、筆者は是非、金投資家としてのスキルをアップしていっていただきたいと、考えています。現代の金(ゴールド)市場の動向をもとに筆者が考えた、スキルアップのための必須事項は、次のとおりです。

(1) 過去の常識にとらわれない
(2) 材料を点でとらえない
(3) 複数の材料を同時に意識する

1980年前後、ソ連のアフガニスタン侵攻や、イラン革命、第四次中東戦争などが起きて、“不安”や“いら立ち”などの負の感情が世界的に高まり、金(ゴールド)相場は大きく上昇しました。あの時は、まさに“有事の金”でした。

ただ、緊急事態宣言が発出・施行されたり、複数の“不安”や“いら立ち”を強める材料が存在したりしても、金相場が大幅下落したことが示すとおり、“現代の”金(ゴールド)相場は、“有事のムード”が強まっても、価格が下落することがあります。つまり、現代の金(ゴールド)相場は、1980年前後のように“有事”だけでは説明することはできないのです。

“有事”について補足すると、かつて、“有事=戦争”でしたが、社会の発展・多様化を経て、有事の定義も発展・多様化していることに気が付かなければなりません。以前の「2021年の脱炭素は、分断を発生・深化させ、有事のムードを強める」で述べましたが、“脱炭素”をめぐっても、世界的にみれば、2021年は意見の相違が目立ち、分断の火種になる可能性があると筆者は考えています。

現代における、大衆の“不安”や“いら立ち”の原因、つまり有事発生の火種は、金融不安や異常気象、大規模な天災、人種間の争い、民族・宗教間の衝突、食糧および資源獲得競争、諸分野の覇権争い、宇宙開拓競争まで、広範囲に存在します。

目に見えない事象や、一見するときれいに見える事象にも、“不安”や“いら立ち”の原因が潜んでいる、つまり、“有事”の火種が隠れていると、考えなくてはならない時代にいるわけです。現代の金(ゴールド)相場を正しく理解したければ、“有事=戦争”という古い常識は、今すぐにでも捨てなければなりません。

現代そして未来の金(ゴールド)相場と対峙しながら、2歩目、3歩目と、歩みを進めていくためには、“過去の常識にとらわれない”ことが求められます。では、何を手掛かりに、2歩目、3歩目を踏み出せばよいのでしょうか。この疑問を解決するのが、(2)の“材料を点で見ない”、(3)の“複数の材料を同時に意識する”です。

先述のとおり、筆者は金(ゴールド)市場には、5つのテーマが存在すると考えています。短・中期的には、“有事のムード”、“代替資産”、“代替通貨”、中・長期的には“中国・インドの宝飾需要”、“中央銀行”が、いずれも常時、大なり小なり、金(ゴールド)市場に影響を与えていると考えています。

(2)の“材料を点で見ない”ことは、これらの5つのテーマに関わる材料がいずれも常に、金(ゴールド)相場に影響を与えていると意識すること、です。そして、(3)の“複数の材料を同時に意識する”は、これらのテーマが及ぼす影響を“足し引き”すること、です。

図:金市場に関わる5つのテーマ


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。