[Vol.943] スーパーサイクル発生の条件とは

原油反落。米主要株価指数の反落などで。62.90ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,761.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は15,990元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年04月限は405.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで551.7ドル(前日比7.8ドル拡大)、円建てで1,914円(前日比47円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月26日 19時7分頃 先限)
6,028円/g 白金 4,114円/g
ゴム 272.2円/kg とうもろこし 29,120円/t

●NY原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「スーパーサイクル発生の条件とは」

前回は、「原油スーパーサイクル到来!?②」として、以前の「原油スーパーサイクル到来!?①」に関連し、原油の超長期の価格推移に注目しました。

今回は、「スーパーサイクル発生の条件とは」として、以前の「多くのコモディティ銘柄が記録的な水準に」に関連し、コモディティ全般の長期的な価格上昇(スーパーサイクル)発生の可能性について書きます。

以前の「原油スーパーサイクル到来!?①」で、米金融大手が、“コモディティのスーパーサイクル”が到来しているのではないか、というレポートを著したことについて書きました。コモディティのスーパーサイクルは過去100年間で5度目とのことでした。

筆者は、5度目のスーパーサイクルが起きるとすれば、それは、過去とは異なる、“現在の世界情勢ならではの複数の材料が同時発生した場合”、だと感じています。

以下のとおり、①から③までの3つの条件が同時に、長期間、継続した場合、現在その“芽”が出始めている5回目のスーパーサイクルが、本格的に発生する可能性があると、考えています。ただ、どれか1つでも抜け落ちると、発生する可能性は大きく低下すると考えられます。

とはいえ、現在、国家・企業・個人問わず、世界的な環境配慮ブームが起きていること(①に関連)、ワクチンが世界各地に行きわたるにつれて、今後、コロナで自粛を余儀なくされてたまった鬱憤が噴出するように消費活動が活性化する可能性があること(②に関連)、など、1980年前後や前回の2000年前後のスーパーサイクル発生時にはない、今ならではのテーマが存在します。

景気回復や雇用情勢の改善のために行われている金融緩和が空前のカネ余りをさらに膨張させ、コモディティ市場にさらに資金が流入する可能性があること、同時に、金融緩和の恩恵を享受する人(株式を大量に保有している人)とそうでない人との間に格差が発生し、1月に発生した「共闘」のような、個人投資家起因の上昇要因が発生する可能性があること(③に関連)も、今ならではのテーマです。

また、①や②を背景に、環境配慮関連銘柄の銀やプラチナ、そして、半導体やその他の電子部品に使われるレアメタルの需要が急激に増大した場合、これらの金属の供給が追い付かなくなる可能性もあります。

以前の「コロナ禍で貴金属市場に自我が芽生える!?」で述べたとおり、環境配慮が本格化すれば、銀やプラチナに上昇要因が発生する可能性があります。

現在、以前のスーパーサイクル発生時に無い、世界規模の材料が複数あります。このように考えれば、条件が整った状態が数年単位で長期化することが必要であるものの、第5次コモディティ“スーパーサイクル”が発生する可能性は、ゼロではないと、現時点で筆者は考えています。

長期的視点で、コモディティ価格の動向を見守る、良いタイミングに来ていると感じます。とかく、コモディティ(商品)というと“短期売買”と連想されがちですが、スーパーサイクルが語られるような今だからこそ、長期的視点でコモディティを追ってみるもの、面白いのではないでしょうか。

図:第5次コモディティ“スーパーサイクル”が発生するための条件(筆者の考え)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。