[Vol.1292] 「年末まで」三つの「緩」が相場を押し上げか

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。90.41ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,789.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は11,960元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年09月限は657.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで896.5ドル(前日比8.6ドル拡大)、円建てで3,814円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月4日 16時30分頃 6番限)
7,616円/g
白金 3,802円/g
ゴム (まだ出来ず)
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「年末まで」三つの「緩」が相場を押し上げか」

前回は、「「6~7月」三つの「急」が相場を押し下げ」として、今年6月・7月のコモディティ市場の全体像を確認しました。

今回は、「「年末まで」三つの「緩」が相場を押し上げか」として、8月から年末にかけてのコモディティ市場の全体像のイメージを確認します。

年末まで、コモディティ(商品)価格はどのような値動きになると、考えられるのでしょうか。6月・7月の「急」が支配的だった環境(前回述べた)が、8月から年末までは「緩」が主軸となり、ほどよい上昇が見られると考えます。

以前の「[Vol.1289] 最悪より「まし」が注目され始めた利上げ動向」で述べた「最悪よりはまし」の利上げが続き、最悪の利上げが回避されることへの安心感から株価は反発、株価反発が需要増加期待を醸成、これらが一体となり上昇圧力が形成される、という流れです。

ECB(欧州中央銀行)が、利上げ姿勢を強く打ち出しているため、ドルが(対ユーロで)弱含みやすい地合いになり、ドル建てのコモディティ価格に割安感が生まれたり、米国の中間選挙(今年11月)に向けた選挙戦において政策への美点凝視が進めば、リスクオンのムードが強まったりする可能性もあります。

一体となった上昇圧力は、底流するウクライナ危機起因の上昇圧力とあいまって、コモディティ市場の底上げの原動力になると、考えます。(下図のような「循環」が起きる)

インフレが進行したり、短期的な価格下落であるCPIショックが再発したりする可能性はあるものの、「利上げ」が「最悪よりはまし」の状態が続くことで、(2)・(3)の、後続の事象が発生する(循環が起きる)可能性があると、考えます。

図:8月から年末にかけてのコモディティ(商品)市場を取り巻く環境(筆者イメージ)
図:8月から年末にかけてのコモディティ(商品)市場を取り巻く環境(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。