先物関連情報を入手して分析してみよう~ 初心者のためのデリバティブ取引ことはじめ
株価指数先物の価格を知る方法は幾つかありますが、基本的には取引している証券会社の顧客向けサイト内において、リアルタイムで提供されているはずですので、そちらをご覧ください。しかし、20分遅れで良ければ、他にも株価指数先物の価格を知る方法はあります。
例えば日本取引所グループ(JPX)のホームページです。ここには大阪取引所で取引されている全ての先物価格情報(直近3限月分なし2限月分)が表示されています。下の図はJPXの先物価格情報のページです。画面上のタブ①ではデフォルトでは「日通し」の価格が表示されていますが、ここでは便宜上、「日中」のタブをクリックして、日中の価格を見ています。
それでは、②で日経225先物の当限の価格などを見てみましょう。このときの当限は2020年9月限です。取引日は7月15日、8時45分の始値は2万2790円、高値は15時15分の2万2950円、安値は8時45分の2万2780円、現在値(ここでは終値になります)は15時15分の2万2950円でした。
現在値の前日比は+380円、出来高は4万5385枚です。売り気配は2万2950円で250枚、買い気配は2万2940円で20枚でした。前日7月14日の清算値段は2万2570円でしたので、制限値幅は上限が2万4160円(2万2570円+通常時制限値幅※)、下限が2万0980円(2万2570円-通常時制限値幅)になります。7月14日現在の建玉は26万3847枚です。※日経225先物の制限値幅は算出比率に基づき四半期ごとに大阪取引所が計算して公表しています。
また③の日経225先物をクリックすると、日経225先物の日中足のチャートが表示されます。もちろん、価格と同様に20分遅れの表示となります。
株価指数先物の現在価格でなく、過去の値動きを知る方法についても幾つかありますが、こちらも基本的には取引している証券会社の顧客向けサイト内において提供されているはずですので、そちらをご覧ください。日足や週足のチャートを見る場合も同様です。
ただし、日足や週足のチャートを見る際に注意しておきたいのは、表示されているチャートが各限月の価格を示しているチャートなのか、中心限月の価格をつなぎ合わせたチャートであるのか、という点です。限月が異なっても元指数は同じですので、ほぼ似たような値動きになりますが、厳密には異なる銘柄ですので、完全に同じ価格ではありません。
過去の値動きをみる場合、特に大きく遡ってみる場合には、中心限月の価格をつなぎ合わせたチャートを使う場合が多いと思われます。この点は現物株のチャートを見る場合と異なりますので、注意しておく必要があります。
もちろん先物価格は、「みんなの株式」のニュースでも報じていますので、夜間取引の大引けである6時から時系列で、主な関連ニュースを見てみましょう。
時間 | 配信元 | 記事の内容 |
---|---|---|
6時 | 先物夜間大引け | |
6時03分 | 株探 | 日経225先物:〇日夜間取引終値 |
7時前後 | 時事通信社 | 〔シカゴ株式先物〕日経225先物、大阪引値比 |
7時30分 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
7時55分前後 | 株探 | シカゴ日経平均先物 |
7時30分~8時 | 株探 | 米国市場データ(NYダウ、シカゴ日経225先物の価格) |
8時45分 | 先物日中寄り付き | |
8時46分 | 株探 | 日経225先物:〇日寄り付き |
8時46分 | 株探 | TOPIX先物:〇日寄り付き |
8時46分 | 株探 | JPX日経400先物:〇日寄り付き |
8時46分 | 株探 | マザーズ先物:〇日寄り付き |
8時50分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
8時50分前後 | みんなの株式 | 〇日=シンガポール・日経平均先物寄り付き |
9時01分 | 株探 | 日経平均〇日寄り付き(先物ではなく現物) |
9時20分前後 | みんかぶFX | 日経平均オプション〇月限SQ値(SQ日のみ) |
10時30分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
12時01分 | 株探 | 日経225先物:〇日正午 |
12時10分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
14時20分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
14時40分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
15時10分過ぎ | フィスコ | 日経平均大引け |
15時15分 | 先物日中大引け | |
15時17分 | 株探 | 日経225先物:〇日清算値 |
15時17分 | 株探 | TOPIX先物:〇日清算値 |
15時17分 | 株探 | JPX日経400先物:〇日清算値 |
15時17分 | 株探 | マザーズ先物:〇日清算値 |
15時17分 | 株探 | 東証REIT指数先物:〇日清算値 |
15時40分前後 | みんかぶFX | 米株価指数先物 時間外取引 |
16時30分 | 先物夜間寄り付き | |
16時31分 | 株探 | 日経225先物:〇日夜間取引寄り付き |
19時 | 株探 | 日経225先物:〇日19時 |
21時30分前後 | みんかぶFX | ダウ採用銘柄 時間外取引 |
22時40分前後 | みんかぶFX | 米国株オープン |
0時20分前後 | みんかぶFX | NY他市場 0時台 |
1時20分前後 | みんかぶFX | NY他市場 1時台 |
2時20分前後 | みんかぶFX | NY他市場 2時台 |
3時20分前後 | みんかぶFX | NY他市場 3時台 |
4時20分前後 | みんかぶFX | NY他市場 4時台 |
これら以外にも、みんなの株式では相場の見通しや場況なども配信していますので、こちらも夜間取引の大引けである6時から時系列で、主な関連ニュースを見てみましょう。
時間 | 配信元 | 記事の内容 |
---|---|---|
6時 | 先物夜間大引け | |
6時前後 | みんかぶFX | 米国株概況 |
6時前後 | 時事通信社 | 〔米株式〕 |
8時前 | みんなの株式 | 〇日の株式相場見通し |
8時過ぎ | 株探 | 株価指数先物【寄り前コメント】 |
8時~8時30分 | フィスコ | マザーズ先物見通し |
8時45分 | 先物日中寄り付き | |
9時前 | フィスコ | 前場に注目すべき3つのポイント |
9時過ぎ | みんなの株式 | 東京株式(寄り付き) |
9時20分前後 | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日前場寄り付き) |
10時01分 | 株探 | 10時の日経平均 |
11時01分 | 株探 | 11時の日経平均 |
11時31分 | 株探 | 日経平均〇日前引け |
11時30分過ぎ | 株探 | 東証マザーズ(前引け) |
11時30分過ぎ | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日前場) |
11時40分過ぎ | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日前場)☆差替 |
11時50分前後 | みんなの株式 | 東京株式(前引け) |
12時10分過ぎ | 株探 | 株価指数先物【昼のコメント】 |
12時30分過ぎ | みんなの株式 | 東京株式(後場寄り付き) |
12時40分前後 | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日後場寄り付き) |
13時前 | フィスコ | 日経平均寄与度ランキング(前引け) |
13時01分 | 株探 | 13時の日経平均 |
13時10分前後 | フィスコ | 後場の日経平均 |
14時01分 | 株探 | 14時の日経平均 |
15時過ぎ | 株探 | 日経平均〇日大引け |
15時過ぎ | 株探 | 東証マザーズ(大引け) |
15時10分過ぎ | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日) |
15時15分 | 先物日中大引け | |
15時30分前後 | 時事通信社 | ◎〔東京株式〕=(〇日)☆差替 |
15時40分前後 | みんなの株式 | 東京株式(大引け) |
15時50分前後 | みんかぶFX | 【これからの見通し】 |
16時前後 | 株探 | 【日経平均の値位置を知る!】テクニカル・ポイント |
16時前後 | 株探 | 【相場の体温計】東証1部・騰落レシオ推移(25日平均) |
16時前後 | フィスコ | 日経VI |
16時20分前後 | 株探 | 【〇】日経平均 大引け| (〇月〇日) |
16時30分 | 先物夜間寄り付き | |
16時40分前後 | フィスコ | マザーズ先物概況 |
17時30分前後 | 株探 | 株価指数先物【引け後コメント】 |
17時30分~18時 | みんなの株式 | 明日の株式相場戦略 |
18時10分過ぎ | フィスコ | 日経平均寄与度ランキング(大引け) |
18時10分過ぎ | フィスコ | 日経平均テクニカル |
20時 | 株探 | 【投資部門別売買動向】(週末のみ) |
22時50分前後 | 時事通信社 | ◎〔米株式〕NYダウ=(〇日朝) |
23時10分前後 | みんかぶFX | 米国株序盤 |
23時20分前後 | 時事通信社 | ◎〔米株式〕(〇日午前) |
5時前 | みんかぶFX | 米国株後半 |
5時10分前後 | 時事通信社 | ◎〔米株式〕=(〇日) |
これらをみると、異なるメディアで同じテーマを取り扱っている報道も散見されます。しかし、同じテーマを様々な視点からみたニュースを比較することによって新しい発見もあり、なかなか参考になります。
先物の手口情報につきましては、第5回の「先物手口情報とは?」で詳しく解説していますので、そちらを改めてごらんください。ただし、そこで紹介した「日経225先物(2020年6月限)取引参加者別手口情報(4/16〜6/5)」のような表を自分で作成するとなると、それなりの手順が必要となります。
まず、JPXの「取引参加者別取引高(手口上位一覧)」のページにアクセスします。ここでご覧いただけるのは下の図の画面です。ここでは過去1年分の毎日の売買データをダウンロードすることができます。しかし、第5回で紹介した表では、ナイト・セッション(夜間)と日中取引とその合計(いずれも立会外となるJ-NET取引含む)を示していますので、そのためには④で囲んだ4つのエクセルデータを全てダウンロードする必要があります。
例えば「2020/07/15」の日中取引における立会取引のエクセル⑤をダウンロードすると、下の図のようなデータを入手することができます。
ここで⑥のFUT_TOPIX_2009とはTOPIX先物2020年9月限の手口、⑦のFUT_NK225_2009は日経225先物2020年9月限の手口を意味しており、この下には日経225先物2020年12月限、日経225mini8月限、9月限、10月限のほか、225オプションの手口が続きます。
そして、ご覧の通り手口はD列とE列を境に左側が売り、右側が買いとなっているほか、手口の多い上位20社まで証券会社が順に並んでいます。これをVLOOKUP関数などで集計することになります。
そうした手間を面倒に感じる方は、みんなの株式で毎日夕方に配信している、手口を集計したニュースをご覧ください。簡便法ではありますが、参考になると思われます。
時間 | 配信元 | 記事の内容 |
---|---|---|
17時30分 | 株探 | 「日経225ミニ」手口情報(〇日夜間) |
17時30分 | 株探 | 「日経225ミニ」手口情報(〇日日中) |
17時30分 | 株探 | 「TOPIX先物」手口情報(〇日夜間) |
17時30分 | 株探 | 「TOPIX先物」手口情報(〇日日中) |
17時30分 | 株探 | 「日経225先物」手口情報(〇日夜間) |
17時30分 | 株探 | 「日経225先物」手口情報(〇日日中) |
17時40分 | 株探 | 主要国内証券 先物手口情報まとめ(〇月〇日・夜間) |
17時40分 | 株探 | 主要国内証券 先物手口情報まとめ(〇月〇日・日中) |
17時40分 | 株探 | 外国証券 先物手口情報まとめ(〇月〇日・夜間) |
17時40分 | 株探 | 外国証券 先物手口情報まとめ(〇月〇日・日中) |
17時50分 | 株探 | 「日経225オプション」プット手口情報(〇日夜間) |
17時50分 | 株探 | 「日経225オプション」プット手口情報(〇日日中) |
17時50分 | 株探 | 「日経225オプション」コール手口情報(〇日夜間) |
17時50分 | 株探 | 「日経225オプション」コール手口情報(〇日日中) |
例えば17時30分に配信される「日経225先物」手口情報(15日日中)では、以下のように証券会社別の売り買いと差し引きを掲示しています。差し引きの枚数が多い順に上から並んでいますので、どこの証券会社が多く買い越して、どこの証券会社が多く売り越しているのかが一目瞭然です。
加えて、主要国内証券と外国証券といった格好で内外の証券会社別にも先物手口情報をまとめており、各社が各先物の各限月で、どのような売買をしたかが分かるように集計し直しています。
これに第5回で示した「先物手口に登場する主な証券会社の特徴」と照らし合わせてみれば、どのような投資主体が活発に動いているのか、断定することまではできませんが、おおよその見当はつけられます。
区分 | 本拠地 | 証券会社 | 主な顧客の特徴 |
---|---|---|---|
外資系 | 米国 | ゴールドマン・サックス | グローバルマクロ |
米国 | シティグループ証券 | グローバルマクロ | |
米国 | JPモルガン証券 | グローバルマクロ | |
米国 | ビーオブエー証券 | 長期投資志向 | |
オランダ | ABNアムロ | アービトラージ(裁定取引) | |
フランス | ソシエテ・ジェネラル | アービトラージ(裁定取引) | |
フランス | BNPパリバ証券 | アービトラージ(裁定取引) | |
スイス | クレディ・スイス | トレンドフォロー(CTA) | |
米国 | モルガン・スタンレー | トレンドフォロー(CTA) | |
香港 | サスケハナ・ホンコン | 高速取引業者(HFT) | |
国内系 | 日本 | auカブコム証券 | 国内個人投資家(ネットトレーダー) |
日本 | GMOクリック証券 | 国内個人投資家(ネットトレーダー) | |
日本 | SBI証券 | 国内個人投資家(ネットトレーダー) | |
日本 | 楽天証券 | 国内個人投資家(ネットトレーダー) | |
日本 | 松井証券 | 国内個人投資家(ネットトレーダー) | |
日本 | みずほ証券 | 国内機関投資家 | |
日本 | 野村證券 | 国内機関投資家 |
上では日々の手口情報をみましたが、これはあくまで1日だけの売買です。ある証券会社が多く買い越したからといっても、買いポジションを膨らませているのか、売りポジションを買い戻しているのか区別ができません。そこで、これまでのポジションを建玉情報で確認します。
建玉情報はJPXが毎週、週明けに発表しています。それでは「2020/07/10現在」の指数先物取引の建玉⑧をダウンロードしますと、以下のようなデータがエクセルに落ちてきます。ここでは便宜上、日経225先物当限の部分を拡大しました。
もっとも、ここで示されている建玉枚数は7月10日現在ですので、第5回の「ワンモアLesson」で紹介したように日々の売り買いを差し引きして現在の建玉枚数を算出します。それによって各社がポジションを膨らませているのか、ポジションを買い戻しているのかが分かります。
こうした分析をしていると特定の証券会社が大きくポジションを傾けるといった現象が見られますので、そこからどのような投資主体が活発に動いているのか、おおよその見当をつけるわけです。ただし、各社のポジションは多数抱えている顧客のポジションを合算したものですので、見当をつけるにしても限界がある点には注意しましょう。
た、各社のポジションは先物を買う、売るといった単純なものだけでなく、他の限月や他の先物、あるいは現物や株価指数オプションと組み合わせて構築している場合もありますので、その点も留意したいところです。
株式市場の需給をみる上で重要視されている投資部門別売買状況において、特に海外投資家の動向が注目されています。しかし、彼らの動向をより正確に把握するためには、現物だけでなく先物の売買も見る必要があります。海外投資家は現物以上に先物を売買することがあり、現物だけの売買と現物・先物を合わせた売買とでは、様子が大きく異なることも珍しくないからです。
これに配慮して最近の投資部門別売買状況に関する報道では、現物の売買だけでなく、現物・先物を合わせた売買の両方を報じているケースも散見されます。ただし、先物の売買で集計している対象が何であるか、は注意が必要です。
JPXが公表している先物の投資部門別売買状況は、日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物、マザーズ指数先物、NYダウ先物、台湾加権指数先物、FTSE中国50先物、日経平均VI先物、長期国債先物、超長期国債先物の12種類です。
この中から日経225先物とTOPIX先物だけを合わせた公表数字もあれば、さらに日経225mini、ミニTOPIX先物を加えた数字を示している場合もあります。
また、JPXが公表しているデータは指数によって単位が異なり、例えば日経225先物では千円単位、日経225miniは1円単位、TOPIX先物は百円単位の表示となっていますので、元データをみるときには注意したいところです。
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