商品先物とは
配信元:みんかぶ先物 著者:MINKABU PRESS

商品先物とは

商品の先物を売買する「商品先物取引」~ 初心者のためのデリバティブ取引ことはじめ

1.商品の先物を売買する「商品先物取引」

商品先物取引は、原油や金、とうもろこしなどの「商品」を「将来の定められた時点において、あらかじめ決められた価格で売買することを約束する」先物取引の一種です。株価指数先物取引と同様で「満期日に決済」するだけでなく、「満期日までに反対売買」することも可能です。将来、相場が上昇すると予想されるときには「買い」から、相場が下落すると予想されるときには「売り」から取引を始めることもできます

米国では「シカゴ・マーカンタイル取引所(CMEグループ)」など、国内では「東京商品取引所(TOCOM)」と「大阪堂島商品取引所」で商品先物取引が行われています。ただしTOCOMに上場していた貴金属市場、ゴム市場および農産物・砂糖市場(金現物および休止中の粗糖は除く)の各商品は2020年7月27日に、「日本取引所グループ(JPX)」の「大阪取引所(OSE)」に移管されています。

国内メインマーケットのTOCOMの取引時間は、日中取引が午前8時45分~午後3時15分(ゴムは午前9時~午後3時15分)、夜間取引は午後4時30分~翌日午前5時30分(ゴム、電力は午後4時30分~午後7時)と、一部を除いて日経225先物などの金融商品先物取引と同じです。

商品先物取引の歴史としては、1531年にベルギーのアントワープで商品取引所が開設されたことが始まりと言われています。国内でも歴史は古く、1580年に大阪を流れる土佐堀川沿いで当時の豪商であった淀屋が米市を開き米の取引市場が誕生。1730年に江戸幕府が大阪の堂島米会所で米の先物取引を許可し、世界初の先物取引所として正式に開設されました。

取引時間
※OSEへの移管に伴い、ゴム市場(RSS3及び TSR20)の日中取引の開始時刻は午前8時45分から午前9時に変更。(出所:「商品移管に伴う留意事項について 別紙2取引制度等の主な変更点」より)
ポイント①
「商品先物取引」は原油や金などの「商品」を「将来の定められた時点において、あらかじめ決められた価格で売買することを約束する」先物取引の一種
ポイント②
「買い」だけでなく「売り」から取引を始めることもできる
ポイント③
国内では「東京商品取引所(TOCOM)」を中心に取引されている。2020年7月に一部商品が「大阪取引所(OSE)」に移管

2.商品先物取引は「差金決済」と「受渡決済」の選択が可能

商品先物取引の決済は、買った価格と売った価格の差額分を受け渡しする「差金決済」が一般的です。例えば、「A」という商品が現在1000円で取引されていたとします。今後、値上がりすることが予想されるので、3カ月後に1000円で買うことができる先物を購入することにしました。

もし、3カ月後の満期日に「A」が1100円に値上がりしていた場合、差額分(1100円-1000円)の100円を受け取ることができます。逆に900円に値下がりしていた場合は差額分(900円-1000円)の100円を支払って清算します。「満期日で決済」するだけでなく、「満期日までに反対売買」することも可能です。

「満期日で決済」する場合は、商品の現物を受け取る「受渡決済」を選択することもできます。実際に「受渡決済」をする投資家はわずかですが、商品の現物を安く買いたいとき、現物を処分したいときに利用されます。

例えば購入の際は取引業者を通じて、最終取引日の前日までに取引所へ購入代金を差し入れ、買い入れ商品の保管手段を指定することで「受渡決済」が行われます。しかし、期日までに「受渡決済」の意思表示を取引所へ示さないと、「差金決済」として処理されてしまいます。

ポイント④
「差金決済」が一般的だが、商品の現物を受け取る「受渡決済」を選択することもできる

3.商品ごとによって異なる「価格の単位」と「取引単位」

市場での「価格の単位」は各商品によって異なっており、例えば金の場合は1グラム、原油は1キロリットル、とうもろこしは1トン当たりの価格となります。「取引単位(ロット)」も金は1000グラム、原油は50キロリットル、とうもろこしは50トンと商品ごとに決められています。

間違いを防止するため、商品先物取引では「枚」という単位を使用し、「1ロット=1枚」という意味合いで使います。そして、損益計算するうえで欠かせないのが、「ロット」を「価格の単位」で割った「倍率」です。金の場合は1000倍(1ロット1000グラム÷価格の単位1グラム)になります。

例えば、金の値上がりを予想し、3カ月後に1グラム当たり6000円で買うことができる先物を2枚購入しました。もし、3カ月後の満期日に金の価格が6500円に値上がりしていた場合、(売値6500円-買値6000円)×2枚×1000倍=100万円が利益(手数料除く)になります。

ただ、注意したいのは電力における取引単位です。ベースロード電力の場合は取引限月の暦日数×24h×100kWh、日中ロード電力の場合は取引限月の平日日数×12h×100kWhが取引単位となるため、限月によって取引単位が異なります。

例えば、ベースロード電力は暦日数が30日間ですと、取引単位は72,000 kWh(= 30日×24h×100kWh)、日中ロード電力は平日日数が20日間ですと、取引単位は24,000 kWh(= 20日×12h×100kWh)となります。

上場商品一覧表
  商品グループ 呼値 取引単位 倍率
貴金属 1g 1,000g 1,000
ゴールドスポット100 1g 100g 100
金ミニ 1g 100g 100
1g 10,000g 10,000
白金 1g 500g 500
白金ミニ 1g 100g 100
プラチナスポット 1g 100g 100
パラジウム 1g 500g 500
エネルギー バージガソリン 1kl 50kl 50
バージ灯油 1kl 50kl 50
プラッツドバイ原油 1kl 50kl 50
バージ軽油 1kl 50kl 50
バージガソリンスワップ 1kl 50kl 50
プラッツバージ灯油スワップ 1kl 50kl 50
プラッツバージ軽油スワップ 1kl 50kl 50
ローリーガソリンスワップ 1kl 10kl 10
プラッツローリー灯油スワップ 1kl 10kl 10
プラッツローリー軽油スワップ 1kl 10kl 10
東エリア・ベースロード電力 ※1 1kWh 72,000kWh 72,000
西エリア・ベースロード電力 ※1 1kWh 72,000kWh 72,000
東エリア・日中ロード電力 ※2 1kWh 24,000kWh 24,000
西エリア・日中ロード電力 ※2 1kWh 24,000kWh 24,000
中京原油 中京ローリーガソリン 1kl 10kl 10
中京ローリー灯油 1kl 10kl 10
ゴム ゴム RSS3 1kg 5,000㎏ 5,000
ゴム TSR20 1kg 5,000㎏ 5,000
農産物
砂糖
とうもろこし 1t 50t 50
一般大豆 1t 25t 25
小豆 30kg 2,400kg 80
出所:東京商品取引所(TOCOM)
※1 取引単位=取引限月の暦日数×24h×100kWh
※2 取引単位=取引限月の平日日数×12h×100kWh
ポイント⑤
「価格の単位」や「取引単位」は商品ごとによって異なる
ポイント⑥
間違いを防ぐため商品先物取引ではロットの単位として「枚」が使用される

4.高いレバレッジを利用して「少額での運用が可能」な商品先物取引

商品先物を取引するには担保として預ける「証拠金」が必要になります。日本商品清算機構(JCCH)が取引を維持するのに最低限必要な「証拠金」の額を算出し、商品先物会社がそれ以上の額を、「委託者証拠金」として独自に定める決まりがあります。そのため、証拠金の金額は一定ではなく、同じ商品でも取引業者によって異なります。

例えば、2020年7月1日現在のJCCHによる金先物の最低限必要な証拠金は22万8000円です。金先物の購入金額は1枚当たり610万円程度ですので、22万8000円を証拠金として預けていれば、610万円程度の取引ができることになります。つまり、26倍程度のレバレッジがかかっている計算です。このように、少額で取引を行うことができ、商品によってはレバレッジが高いものがあることも商品先物取引の特徴と言えます。

JCCHが算出する「証拠金」は原則、毎月第1営業日から15日までの上期と、16日から月末営業日までの下期の月2回の見直しが行われます。ただし、市場の急変でボラティリティ(価格変動率)が高まると臨時見直しにより証拠金が引き上げられることもあります。

このため、JCCHによる「証拠金見直し」や「日々の値洗い」により、ポジションや預けている証拠金次第では、投資家は追加で証拠金を差し入れなくてはならない「追証」を迫られるリスクがあることには注意が必要です。

例えば、「委託者証拠金」が20万円で、30万円の証拠金を預けていたとしましょう。保有していた商品先物の価格が100万円から80万円に下落し、-20万円の含み損が発生したとします。すると、受入証拠金30万円-含み損20万円-委託者証拠金20万円=-10万円を追加で差し入れなくてはならないことになります。

また、同時にJCCHの証拠金見直しにより委託者証拠金が30万円に引き上げられた場合は、受入証拠金30万円-含み損20万円-委託者証拠金30万円=-20万円の追証になります。

商品ごとのレバレッジ比較表
  商品グループ 証拠金(円)
※1
価格(円)
※2
倍率 取引金額(円)
(価格×倍率)
レバレッジ(倍)
(取引金額/証拠金)
貴金属 228,000 6,126 1,000 6,126,000 26.9
ゴールドスポット100 22,800 6,111 100 611,100 26.8
金ミニ 22,800 6,126 100 612,600 26.9
銀(刻み値は1g当たり10銭) 75,000 62.2 10,000 622,000 8.3
白金 180,000 2,800 500 1,400,000 7.8
白金ミニ 36,000 2,800 100 280,000 7.8
プラチナスポット 34,800 2,805 100 280,500 8.1
パラジウム 525,000 6,807 500 3,403,500 6.5
エネルギー バージガソリン 400,000 39,970 50 1,998,500 5.0
バージ灯油 400,000 40,820 50 2,041,000 5.1
プラッツドバイ原油 400,000 28,880 50 1,444,000 3.6
バージ軽油 295,000 46,400 50 2,320,000 7.9
バージガソリンスワップ 400,000 39,000 50 1,950,000 4.9
プラッツバージ灯油スワップ 400,000 40,000 50 2,000,000 5.0
プラッツバージ軽油スワップ 295,000 41,800 50 2,090,000 7.1
ローリーガソリンスワップ 60,000 40,000 10 400,000 6.7
プラッツローリー灯油スワップ 50,000 41,000 10 410,000 8.2
プラッツローリー軽油スワップ 60,000 42,000 10 420,000 7.0
東エリア・ベースロード電力 ※3 70,000 6.67 72,000 480,240 6.9
西エリア・ベースロード電力 ※3 70,000 6.60 72,000 475,200 6.8
東エリア・日中ロード電力 ※3 40,000 7.58 24,000 181,920 4.5
西エリア・日中ロード電力 ※3 30,000 8.27 24,000 198,480 6.6
中京原油 中京ローリーガソリン 60,000 40,450 10 404,500 6.7
中京ローリー灯油 50,000 41,800 10 418,000 8.4
ゴム ゴム RSS3 50,000 142 5,000 710,000 14.2
ゴム TSR20 80,000 129 5,000 645,000 8.1
農産物
砂糖
とうもろこし 50,000 20,370 50 1,018,500 20.4
一般大豆 80,000 46,000 25 1,150,000 14.4
小豆 55,000 16,100 80 1,288,000 23.4
出所:「東京商品取引所(TOCOM)」「日本商品清算機構(JCCH)」
※1 プライス・スキャンレンジ(先物取引を1単位売建て/買建てた場合に必要となる最低証拠金、7/1~7/15時点)
※2 前日の帳入値段(ちょういれねだん、損益計算をする際の基準となる値段、7/4時点)
※3 刻み値は1kWh当たり0.01円、当該限月の暦日数は30日間、平日日数は20日間
ポイント⑦
商品によってはレバレッジが高いものもあり、少額で高いリターンを目指すことも可能
ポイント⑧
「証拠金の見直し」や「日々の値洗い」により証拠金不足となり、追加で差し入れなくてはならないリスクもある

5.まとめ

  • (1)「商品」を「将来の定められた時点において、あらかじめ決められた価格で売買することを約束する」のが「商品先物取引」です。国内では「東京商品取引所(TOCOM)」を中心に取引されていますが、一部商品が2020年7月に「日本取引所グループ(JPX)」の「大阪取引所(OSE)」に移管されました。
  • (2)商品先物取引は「差金決済」だけでなく、商品の現物を受け取る「受渡決済」を選択することもできます。この点が株価指数先物取引と異なります。
  • (3)商品ごとに「価格の単位」や「取引単位」が異なっており、間違い防止のためにロットの単位として「枚」が使用されます。
  • (4)高レバレッジの商品もあり、少額で高いリターンを実現することも可能です。ただし、「証拠金の見直し」や「日々の値洗い」により証拠金不足となるリスクもあります。
ワンモアLesson

「ダイナミックな値動きが特徴の海外商品先物取引」

商品先物取引は国内市場よりも海外市場の方がマーケットは大きく、海外の商品先物市場には、国内外の機関投資家やヘッジファンド、CTA(商品投資顧問業者)などビッグプレーヤーも参戦しており、株式市場をはじめ他の金融市場にも大きな影響を与えます。

海外で商品先物取引市場を運営している代表的な存在が、アメリカ合衆国にある「シカゴ・マーカンタイル(CME)取引所」です。CMEグループの傘下には、世界最大の商品・エネルギー先物の取引所である「ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)」、金属の先物取引を行う「ニューヨーク商品取引所(COMEX)」、1848年に設立された米国で最も歴史が古い商品取引所であり、穀物の先物取引を行う「シカゴ商品取引所(CBOT)」などがあります。

夏の取引時間(日本時間)はNYMEX、COMEXが月~金曜日の午前7時~翌日午前6時(冬時間午前8時~翌日午前7時)とほぼ24時間体制。CBOTが月~金曜日の午前9時~午後9時45分、午後10時30分~翌日午前3時15分(冬時間午前10時~午後10時45分、午後11時30分~翌日午前4時15分)となっています。

2020年4月にはコロナショックにより「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物」の価格が史上初のマイナスに急落するなど、海外の先物市場は値動きが大きいことに特徴があります。また、為替の影響も受けるため、非常にリスクの高い金融商品となりますが、逆をいえば、短期で値幅を取りたい短期売買にはうってつけかもしれません。

このコラムの著者

MINKABU PRESS
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