商品先物の関連情報を入手しよう(下)~ 初心者のためのデリバティブ取引ことはじめ
商品先物の取引高上位情報については、株価指数先物と同様に大阪取引所(OSE)の「取引参加者別取引高(手口上位一覧)」のページにアクセスします。ここでご覧いただけるのは下のような画面です。
例えば⑬の「2020/09/02」のエクセルファイルをダウンロードすると、下の図のようなデータを入手することができます。
ここではどの商品(各限月合計)を、どの取引業者が、どれだけ売買したのか、その上位10社の取引高が表示されています。ただし、株価指数先物の手口と異なり、売りと買いに分かれているわけではありません。また、上から金標準、金ミニ、金限日、銀、白金標準、白金限日、白金ミニ、パラジウム、とうもろこし、一般大豆、小豆、ゴム(RSS3)、ゴム(TSR20)という順で表示されています。
東京商品取引所(TOCOM)で取引されている商品については、TOCOMウェブサイトで「売買高上位10位」が掲載されています。ただし、このページではOSEのようにエクセルを直接ダウンロードすることはできません。
TOCOMで取引されている商品の売買高上位10位データをダウンロードする場合、価格データと同様にヒストリカルデータの「ダウンロードページ」にアクセスし、下にスクロールして、⑭の「売買高上位10位」からCSV形式のデータを取得することができます。
投資部門別取引状況では、どの投資部門がどのような売買をしたのかをチェックできます。OSEで取引されている商品については、株価指数先物と同様にOSEの「投資部門別取引状況」のページにアクセスします。
ここで⑮左側のPDFファイルをダウンロードし、開いた画面を下にスクロールすると以下のように金標準先物などの投資部門別取引状況を確認することができます。株価指数先物や株価指数オプションの投資部門別取引状況と異なり、取引代金の表示はなく、取引高のみの表示となります。
また、⑮右側のエクセルファイルをダウンロードすると以下のような画面が表れます。このデータの縦軸と横軸の意味を知るためには、OSEの「投資部門別取引状況」の⑯「ご利用の手引き」をクリックしていただき、「CSV項目内容及びCSVヘッダー」のファイルをダウンロードしてご覧ください。
一方、TOCOMで取引している商品についてはTOCOMの「カテゴリ別取組高表」をみます。ここでは投資部門を当業者(上場商品を主原料とした物品の加工販売などを業としている者による取引。商品先物取引業者への委託による取引、自己による取引を含む)と非当業者(個人・法人など当業者以外の委託者による取引)に分けた2分類と非当業者を更に細分化した6分類を日々公表しています。
上はTOCOMの「カテゴリ別取組高表(6分類)」の画面です。このほか「カテゴリ別取組高(週次)」では商品ごとに週次データもみることができます。
また、これらのデータはOSEと同様に取引代金の表示はなく、取引高のみの表示となりますが、投資部門の分類方法はOSEと異なっている点に注意が必要です。
商品先物に限らず、マーケットにおいて需給に勝る材料はありません。そのためにも投資部門別取引状況を知ることは極めて重要であり、特に商品先物においては取引が盛んな海外の投資家動向が注目されます。
OSEでは海外投資家として、TOCOMでは外国商品先物取引業者経由として、海外の投資家動向を公表しています。しかし、それらは世界的にみてマーケット規模が小さい国内の商品市場における彼らの動向を把握しているに過ぎません。国内の商品市場に大きな影響を与える世界的な需給動向を知る必要があります。
その一つの手段としてCFTC(Commodity Future Trading Commission、米先物取引委員会)が集計する米各取引所の先物建玉明細が挙げられます。ここではCME(Chicago Mercantile Exchange 、シカゴ・マーカンタイル取引所)グループのIMM(International Monetary Market、国際通貨市場)に上場しているドル円やユーロドルなどの通貨先物に加えて、金属、エネルギー、農産物といった各商品のほか、米国債や米株のS&P500、日経平均に至るまで、各先物の建玉が公表されています。
現地時間で毎週火曜日の取引終了後に報告されたポジションが、週末金曜日の取引終了後に発表されており、投資部門はファンドなどの大口投機筋、当業者ヘッジなどの商業筋のように分類されています。中でも大口投機筋のポジションが買い越しなのか、売り越しなのか、その時系列の変化が注目され、ポジションが一方向に大きく傾いてくると思惑が錯綜し、今後のボラティリティ(価格変動率)の高まりが考えられます。
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