ニクソンショック(にくそんしょっく)

1971年8月15日のニクソン声明で米国は金兌換を停止することを明らかにしました。その後のスミソニアン合意で、各国通貨の対米ドルの変動許容幅の上下各2.5%への拡大等が決定され、何とか固定相場制の維持が図られました。しかし、このスミソニアン合意も、結局は、固定相場制の崩壊から変動相場制への移行への踊り場の役割を果たすにとどまり、1973年、各国は五月雨式に変動相場制(フロート制)に移行しました。
この結果、かつては固定相場制でおよそ価格変動リスクが存在しなかった外国為替相場は、市場の需給によって自由に変動することとなり、ここから価格変動リスクのヘッジ需要が生まれます。そして、このニーズを鋭く嗅ぎ取って、外国為替相場を原資産とする先物を「通貨先物」としていち早く上場したのが、シカゴマーカンタイル取引所です。
今でこそ、株価指数先物や債券先物、金利先物といった金融先物は先物市場に欠かすことができない商品となっていますが、それまでとうもろこしや大豆、牛、豚といった農畜産物がすべてであった先物マーケットの世界においては、この通貨先物の上場は画期的なことでした。ちなみに、ノーベル経済学賞受賞者のマートン・ミラーシカゴ大学教授は、この通貨先物の上場は、過去20年間におけるもっとも重要な金融革新である、と述べています。