仕組債の一種に、金利スワップを組み込んだリバースフローター債(インバースフローター債ともいいます)があります。フローター債は、投資家が受け取るクーポン(利息)が市中金利と同方向に連動する変動利付債ですが、リバースフローター債は、文字通りこの反対で、クーポンが市中金利の変動とは逆方向に連動する仕組債です。具体的には、リバースフローター債のクーポンは、固定金利から変動金利を差し引いたものとなります。そして、差し引く変動金利にはLIBORが使われるのが一般的です。このように、リバースフローター債のクーポンは市中金利とは逆方向に変動することから、市中金利下落自には、受け取るクーポンが増加することになります。したがって、先行き、市中金利低下の見通しを持つ投資家によっては魅力的な商品ですが、見通しが狂って市中金利が上昇した場合には、クーポン収入が減少するばかりか、それ以上に債券価格自体が下落するリスクがあることに留意する必要があります。ちなみに、1994年に米国自治体の倒産としては史上最大になったオレンジ郡の倒産事件は、このリバースフローター債への投資失敗が原因となっています。
こうしたリバースフローター債の投資家は、固定金利からLIBORを差し引いたクーポンを受け取りますが、これは投資家が固定金利を受け取る一方、LIBORを支払うというレシーバースワップ取引(固定金利受け取り・変動金利支払いのスワップ取引)をお混っているとみることができます。なお、リバースフローター債の発行体は、金利下落によって支払うクーポンが増加しますから、これをカバーするためにスワップ取引の仲介業者であるスワップブローカーとの間でレシーバースワップ取引を行うことが一般的です。
このように、リバースフローター債は、金利スワップが組み込まれた仕組債の一種であるということができます。
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