クレジットデリバティブ取引では、実際に信用リスクが表面化した場合に補償金の受払いが生じることになります。したがって、クレジットデリバティブ取引の参照組織に具体的にどのような信用状態の変化があったときに資金の受払いが発生するかを、あらかじめはっきり決めておくことが必要となります。この資金の受払いのトリガーとして特定される信用状態の変化を「クレジットイベント」(信用事由)と呼んでいます。
クレジットイベントとされる項目には、ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)が契約書のヒナ型で取り上げられている6つの標準的なイベントがあります。この6つの標準的なイベントがあります。この6つのイベントとは、倒産、債務不履行、リストラクチャリング、オブリゲーション・アクセセレレーション、オブリゲーション・デフォルト、履行拒否・支払猶予です。このうち、一般に使用されるクレジットイベントは、倒産、債務不履行、リストラクチャリングの3つで、これを3CE(CEはクレジットイベントの頭文字)と呼んでいます。
3CEのうち、「倒産」は債務者の清算手続きだけではなく、民事再生、会社更生手続きの開始決定等も含まれます。また、「債務不履行」は、債務支払の猶予期限を経過して、かつ最低支払不履行額を超える支払不履行が生じた場合を指します。ここで、債務支払猶予期限とは、債務者の実質的な支払不履行に該当しないような送金ミス等、技術的な債務不履行でイベント発動とならないように、あらかじめ当事者間で猶予期限を設定しておくものです。
また、最低支払不履行額とは、僅かな金額の支払不履行でイベント発動とならないように、これもあらかじめ当事者間で最低額を決めておくものです。一方、「リストラクチャリング」は、債務の元本の減額、金利減免、元本または利息の支払期限の延長が生じた場合を指します。
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