クレジットデリバティブは、信用リスク(クレジットリスク)を取引対象とするデリバティブです。すなわち、クレジットデリバティブは、原資産から信用李宇久を切り離して信用リスク自体を取引対象にした商品です。この阿合の原資産には、貸出債権、個別債券、債券ポートフォリオ、信用状などのほか、信用リスクに関わる各種の指数も考えられます。っそいて、クレジットデリバティブ取引により、貸出債権や社債等が持つ信用リスクと信用リスク引受料(プレミアム)とが交換されることとなります。この結果、たとえば債権者は債務者の信用力低下に伴い発生する損失リスクを取引の相手方に移転することができます。
信用リスクを売買する伝統的な商品としては、貸出債権を相対で売買する取引がありました。特にわが国では、バブル崩壊後の景気低迷時に金融機関が不良債権をオフバランス化(バランスシートから外す)手法として貸出債権を束にしたものを大幅なディスカウントで売却するバルクセール(一括売却)が行われました。こうした取引では、いくらディスカウントされたといっても投資家はディスカウントされた貸出債権の金額を対価として支払う必要があります。しかし、クレジットデリバティブを活用することによって投資家はわずかな元手資金を用意するだけで貸出債権を購入すると同じ効果を得ることができます。これは、少額資金で大きんエキスポ―ジャーを持つことができるデリバティブ取引のレバレッジ効果からくるものです。
一方、信用リスクの移転を目的とする伝統的な商品には債務保証があります。この債務保証では、たとえば銀行が貸出債権を満期まで保有することを前提として付保されるものですが、クレジットデリバティブでは、当初から満期まで債券の保有を前提とすることなく貸付を行うとか、リスクのみを取り出して取引することができることから、より機動的なリスク管理が可能となります。すなわち、銀行では、一旦貸出を行ったら貸出債権を満期まで待つこと(オリジネート&ホールド型)がごく一般的なパターンでしたが、クレジットデリバティブや証券化の活用によって当初から貸出債権を他の主体に移転するとか、貸出債権はそのままに保有しながら信用リスクだけを他の主体に移転する取引が活発化しています。こうした新たなビジネスモデルを「オリジネート&ディストリビュート型」と呼んでいます。
また、満期以前に貸出債権を手放すことが想定されるものとしては、シンジケートローンがありますが、クレジットデリバティブはより幅広い債権についてマーケットでの売買を可能とした点でリスク管理面に大きな効果を発揮しています。
このように、クレジットデリバティブは、低コストで有効な信用リスクのヘッジ手段であるということができます。クレジットデリバティブ市場のユーザーは、銀行が大きな地位を占め、それに保険会社、証券会社が続いています。
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